避難安全検証法について利用のメリット・デメリット

1. 避難安全検証法 利用のメリット

みんなのメリット

  • 1. 不運にも火災事故が発生した時も在室者の安全を確保できる可能性が増します。
  • 2. 社会資本となりうる長期に渡り利用可能な建築物を提供できます。

建て主のメリット

  • 1. 防煙垂れ壁や自然排煙窓、機械排煙設備、および物販店での合計階段幅・地上への出口幅などを適用除外として、イニシャルコスト(建築費や施工期間)を削減することができます。同時にメンテが必要な設備が減らせます。
  • 2. 既存物件の増改築をおこなって建築確認を取得する場合、法改正などにより現行の建築基準法に適合していないことがあります。 例えば排煙設備の設置(令126 条の2)は1970 年(昭和45 年)に制定されたため、それ以前に建てられた建物には排煙設備が設置されていません。そのような場合、避難安全検証法により、新たに排煙設備を設置せずに増改築できる可能性があります。
  • 3. 建物の侵入経路となる排煙窓や外部扉を削減することができます。
    ※平面計画によっては部分的に扉の追加が必要になる場合があります。

不動産会社のメリット

  • 1. 既存の建物を改修して、倉庫から店舗や飲食店に用途変更する場合などに、従来の仕様設計(ルートA)では必須の防煙垂れ壁や自然排煙窓、機械排煙設備などを適用除外として改修コストを削減することができます。
  • 2. 既存の古いスーパーマーケットなどの建物をリノベーションする場合などにも、避難安全検証法を活用することにより、リノベーションコストを削減することができます。

設計者のメリット

  • 1. 安全性能を確認することにより、より安全な建物の設計が容易になります。
  • 2. 排煙設備、建具、階段のほか、竪穴区画や異種用途区画などを削減することにより、プラン(平面計画)の自由度を向上させることができます。

現場所長のメリット

  • 1. 仕様規定(ルートA)で設計された建物に避難安全検証法が適用できれば、建物のプランを大きく変更せずに工事金額を削減できる可能性があります。
  • 2. 防煙垂れ壁や自然排煙窓、機械排煙設備等を適用除外することにより、施工工期を短縮することができます。

2. 避難安全検証法 利用のデメリット

  • 1. 発熱量が高く面積の小さな室は、居室の安全性能を満たすために、天井高さを高くする必要が生じる場合が多くなります。(ルートB1に顕著)
  • 2. 着工後、施工図レベルで納まりの調整を行った結果、間仕切壁が僅かに動いたり、扉のWH寸法がミリ単位で変わったりする場合がありますが、そんな僅かな変更でも、変更申請手続きの対象となります。
  • 3. 竣工後の間仕切変更や改修工事の度に安全性能の確認が必要で、定期的に改修を行う店舗等では、面倒な作業が発生します。
    これは仕様設計でも同様ですが、仕様設計の場合は、図面を初めて見る設計士でもすぐに確認できるでしょう。ところが避難安全検証法の場合、計算書をひもとき、変更になる部分の数値を確認して再計算を行う必要があるので、作業量が非常に多くなるばかりか申請時の計算書作成者でないと分析に時間がかかります。
  • 4. 避難安全検証を通常の設計ルートとして日常的に使いこなすにはコンピュータの活用が欠かせません。ところが建築設計業界で設計ツールの標準化はまったく進んでいません。況してや何万人規模の大企業から1人で運用される街の設計事務所に対応できる1つのシステムは、求められる性能や機能、掛けられるコストも違い現時点では現実的に開発不可能でしょう。

SEDシステムがあれば簡単に変更箇所をチェックすることができます。
また、設計事務所の規模を問わず、防災設計の標準ツールとして、SEDシステムの活用が可能です。

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