Messageメッセージ

発注者/設計士という立場も、
法律の枠組みも超えて、
「あなたの魂」で防災を考えませんか。

私は避難安全検証法という法律を長く学んできました。 その経験の中で、「法」と人との関わりについて、私なりに感じたことをお話ししたいと思います。

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「法律」は本来、人を縛りつけたり規制するものではない

よく誤解されていますが、「法律」は人を縛りつけたり、守らなかった人に罰を与えるために存在するものではありません。建築基準法の第一条を見てみましょう。

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築基準法が定めるのは「最低の基準」だと明記されています。そして法律の目的は「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること」なのです。

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意匠設計の初期段階で「防災」について考えることは
施主・設計士双方にとってメリットをもたらす

ある建築防災の専門家の先生が、議論する中で、このような一言をおっしゃいました。

「法律に従ってさえいれば問題ないと思うな。あなた自身はどう思うんだ」

「でも先生、法律の条文ではこうなっています」と食い下がった私に対しておっしゃった一言でした。 とにかく大変なショックを受けて、自分なりに考えて、あらためて避難安全検証法をよく見直しました。そして自分なりに導いた結論は2つ。1つは「法律に定められた最低限のラインを超えるのは当たり前である。法律の目的を達成するために何をすべきかは、自分自身で考えなければならない」こと。もう1つは「現行の避難安全検証法にはさまざまな抜け穴がある」ことでした。

それからは自分たちの仕事を一つずつ見直していきましたが、当時の部下からは大変な反発を受けました。「計算は通ってもこれはアカンで」と指摘すると「法律には良いと書いてるのになぜダメなんですか」「顧客にお伝えしても通らないと思います」と…。

“不安全な建物”であっても建築基準法を満たしてさえいれば、法律上は合法で安全な建物として認められてしまいます。しかしその建物でもしもの事故が起こった時、不幸になるのは誰でしょう?

設計士たる国家資格を持つ者は、建築を通じて国民の安全と幸せを守る義務がある。それは法律を守るだけではなく、法律の不備をただし、よりよいものにしていく責務があると私は考えます。 そして、設計初期段階で防災計画を考慮することは、もしもの被害を軽減させるだけでなく、結果として長期的なメンテナンスコストの抑制にもつながります。施主・設計士双方にとって大きなメリットになり得るのではないでしょうか。

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自分が心から良いと思えるものづくりをしているか?
常に自分自身に問いながら設計をしてほしい

大川小学校津波裁判をご存知でしょうか。東日本大震災の時に起こった津波で亡くなったり行方不明になった子どもたちの遺族が原告となり、石巻市と宮城県に対し、危機管理マニュアルの改訂や整備等をせず、また、地震発生直後に安全な高台に避難させずに被災させたことを訴えた裁判です。

控訴審では、一審で認められた「現場の過失」に加え「組織的な過失」が認められました。自然災害における市や県、そして学校という組織全体で取り組むべき安全対策への責任が追及されたのです。非常に辛く悲しい事故でしたが、将来の災害時に子どもたちを守ることに繋がる、非常に意義のある判例となりました。

この裁判の判決にあたり裁判官はこのような言葉を述べられました。

「学校が子どもの命の最期の場所であってはならない」

すべての原点はここからです。子どもたちの安全と幸せを如何に守るかを考え行動していくことが人間の発展に繋がります。日本国民を幸せにするために作られた法律を「使いこなす」のはあなたご自身。一人の人間としての“生き方”や“美意識”ともいえるでしょう。

あなたが意匠設計者なら、お忙しい日々ですが、少しだけ防災について考えてみてください。皆さんのご負担をできるだけ無くすように「SED(Safety Evacuation Designer)」は設計されています。
一人の建築を愛する人間として。あなたが心から誇れるお仕事のためにSEDシステムを活用していただけるなら、これ程幸せなことはありません。

九門 宏至(Hiroyuki Kumon)の経歴紹介

資 格 一級建築士
初級システムアドミニストレーター
小型船舶操縦士免許(1)級
PADIダイブマスター
趣 味 ヨット、ダイビング、ホエールウォッチング、写真
所属会 日本建築学会
日本自然科学写真協会(SSP)
1962年 広島県に生まれる
1985年 関西大学工学部建築学科卒業
1987年 関西大学大学院 建築学専攻 修士課程終了
学生時代は、アトリエ系設計事務所でのアルバイトに勤しみつつヨーロッパを中心に建築見学旅行を重ね、建築家を夢見ていた
好きな建築家は村野 藤吾
1987年 株式会社 間組(現・安藤ハザマ)入社
1年半の現場経験の後、本店建築設計部、名古屋支店、大阪支店にて約30件の設計に関わる
2000年 株式会社ナインベアーズ・コミュニケーション設立
2000年の避難安全検証法施行をきっかけに建築防災設計に興味を持つ
2001年 避難安全検証用の計算ソフト「AVOID」の開発に参加
2002年 京都大学防災研究所 田中 哮義教授に学び始める
2003年 「AVOID」販売開始 防災設計コンサルティングを始める
2005年 株式会社関西建築防災研究所取締役
2014年 独立行政法人海技教育機構 海技大学校 海事教育通信コース卒業
2015年 販売元の意向により「AVOID」のサポートが終了したことから、
避難安全検証自動計算システム「SED(Safety Evacuation Designer)」の開発に乗り出す
2018年 「SED(Safety Evacuation Designer)」の開発を発表 コンサルティング業務への利用開始
2019年 防災設計コンサルタント部門を分割し、株式会社九門宏至建築事務所設立
株式会社ナインベアーズ・コミュニケーションを株式会社九門に改称
2021年 「SED solo」販売開始
5月、煙高さ判定法(ルートB2)施行
ルートB2をクリアする安全な建物を増やすため、SEDの広報活動と防災設計に関する情報発信に邁進中
2023年 避難安全検証法実践マニュアル発行

著書

  • 避難安全検証法 実践マニュアル』(翔雲社)2023年
  • 避難安全検証法 設計実務ハンドブック―性能設計で変わる建築設計の実務』(清文社)2005年 ※黒木 市五郎氏との共著, 田中 哮義氏の監修
    購入はこちら(現在絶版となっており、一般の書店では購入が困難な状況ですが、株式会社九門では在庫を販売しております。)
  • 40代からの退職準備プラン』(法学書院)1997年

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