Column避難安全検証法使いこなし術

(9)告示に示されない室用途の検証【ルートB1】

2023/06/01

表紙.jpg

 避難安全検証法を扱う上で最も重要な要素は、検証の前提となる在館者密度と積載可燃物の発熱量です。これらの数値は告示に示されていますが、全ての用途が網羅されてはいないため、告示に示されていないものについては「その他これに類するもの」として数値を決定しなくてはいけません。避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説[監修:国土交通省国土技術政策総合研究所他]には「その他これに類するもの」の例が示されています。

在館者密度の関する事項
在館者密度.jpg

積載可燃物の発熱量に関する事項
発熱量.jpg

多くの例が示されてはいるものの、まだ十分とはいえません。設計を進めている建物の室が明示されていない場合は、室名にこだわらず、実際にどのように利用され、在室者数はどれくらいで、燃え草となる家具や物品はどの程度持ち込まれるか、具体的に書き出し、同様と推測される用途の室に当てはめ、数値を決定します。想定が難しい場合は、建築学会発行の書籍等に記載されている用途毎の発熱量実測データを参考にすればよいでしょう。

利用状況からは想定が難しい用途の室への対応

 例えば「工場」のように、作られる物によって在室者数や発熱量が大きく異なる用途の室では、実際の作業員数、原材料や製品が同時に室内に置かれる数量から算定します。以下に算定例を示します。

・在館者密度
 通常作業員10名 交代時15名 メンテナンス作業員随時5名 = 最大作業員数20
 よって在館者密度は20/1,000=0.02/㎡となります。
 ところが避難安全検証法では、固定席でない限り、ユーザーが設定した在館者密度は利用できません。
 数値が最も近く想定在室人数を下回らないものを適用します。
 この場合は告示に示される0.06/㎡【住宅の居室】を用いて在室者60人で検証することになります。

・積載可燃物の発熱量
 室内に存する原材料数 20t  発熱量 30MJ/kg
 原材料の発熱量は理科年表やWEB上で公開されている情報を利用します。ここでは30MJ/kgとします。
 室用途は工場なので、生産設備と総原材料(製品含む)の発熱量を算出します。
 生産施設 240MJ/㎡ 色々な機械が利用される自動車整備工場同等と考えます。
 原材料(製品) 20t×1,000×30MJ/kg=600,000MJ
 1㎡当たりに換算 600,000MJ/1,000=600MJ/
 生産施設の発熱量を加える 240MJ/㎡+600MJ/=840MJ/
 積載可燃物の発熱量もユーザーが設定した数値を利用することはできません。
 最も近い積載可燃物の発熱量で想定を下回らないようにします。
 この場合は告示に示される960MJ/㎡【家具・書籍売場】を用います。

SEDの自動設定機能

 過去20年以上のコンサルタント経験、1,200件以上の申請実績で培ったノウハウを凝縮させたSEDでは、室名を入力すると在館者密度・積載可燃物の発熱量が自動的に設定されます。さらにpartnerバージョンでは設定理由も自動的に入力され、申請用の説明資料が自動作成されます。自動入力値はメインメニューのファイル(F)→室用途設定(M)から編集していただけますので、あなたの経験を生かしたカスタマイズも可能です。

室オブジェクト入力画面
入力.png
自動入力された属性
属性パネル.png

株式会社九門が開発したSEDは、CAD感覚で計画を入力するだけで即座に計算が完了します。ぜひ、30日間無料トライアルをお試しください。

建物に携わる皆様へ
永く愛される建物づくりを、
SEDシステムがサポートします

ライセンス購入