(78)徹底解説[避難時間判定法] 第16回 出口通過時間(前編)
2026/11/01
- 避難時間判定法(ルートB1)
今回と次回の2回に分けて「階出口通過時間」について解説します。
階出口通過時間は「階避難完了時間」を構成する3要素(階避難開始時間、階歩行時間、階出口通過時間)のひとつですが、その占める割合は約5.2%に過ぎません。そのため、計算結果のわずかな差にこだわるよりも、防災計画に基づいて適切な位置に階出口を配置することが、建物全体の安全性能を確保するうえで重要となります。
まず今回は、告示の内容から基本をしっかり理解しましょう。基本的な考え方は居室出口通過時間と共通しているため、一度理解してしまえばそれほど難しいものではありません。
階出口通過時間とは
階出口通過時間とは、その階にいる在館者(および当該階を経由して避難する必要がある室の在館者)が、すでに階出口前まで到達しているものと仮定し、全員が出口を通過するまでに要する時間を求めます。階(およびその階を通らなければ避難できない室)の在館者人数を、出口の有効幅に有効流動係数を掛け合わせた時間あたりの出口の通過性能で除して求めます。
階出口通過時間は、国土交通省告示510号には以下の通り示されています。
ハ 次の式によって計算した階に存する者が当該階から直通階段への出口を通過するために要する時間(単位 分)
![]()
tqueue(floor):
階に存する者が当該階から直通階段への出口を通過するために要する時間(単位 分)
P:
第一号ハに規定する在館者密度(単位 人/㎡)
Aarea(floor):
当該階の各室等の各部分の床面積(単位 ㎡)
Neff(room):
当該階から直通階段への各出口(当該火災室が直通階段への出口を有する場合においては、当該火災室の直通階段への出口のうち、その幅が最大のものを除く。以下このハにおいて同じ。)の幅及び種類並びに当該階から直通階段への各出口の通ずる直通階段の階段室の床面積に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した当該階から直通階段への各出口の有効流動係数(単位 人/分・m)![]()
Bst:
当該出口の幅(単位 m)
※ Aarea(floor)とAload(floor)は、記号とその説明が異なりますが同じ意味で、当該階の階出口を通らなければ避難できない部分の床面積です。
※ Ast この面積は階段有効面積となることに注意してください。
有効流動係数について
○避難階の場合
避難階の階出口はすべて地上への出口ですので、有効流動係数は90人/m・分となりま
○避難階以外の場合
階段室が避難者を十分収容できるかどうかによって有効流動係数が変化します。
・収容可能な場合
階段室への流入はスムーズに行われるので有効流動係数は90人/m・分となります。
・収容できない場合
告示に示される以下の式によって、有効流動係数を求めます。
![]()
この式は、以下のように変形できます。
![]()
居室の有効流動係数の算定式と同様です。基本流動係数80人/m・分に直通階段への出口の幅に対する避難経路上のネックとなる部分の幅の比、階段を利用しなければ避難できない在館者数と階段室の収容可能人数との比の3つの項を掛け合わせることより有効流動係数を求めています。
このように、階出口通過時間の算定式は、居室出口通過時間と同じです。出口毎に避難負担人数を求めたりせず、すべての出口をまとめて計算します。なので、階出口をどのようなレイアウトで配置しようと検証結果は変わりません。これは、計算を簡単にするために、避難者がすべての出口に均等に向かうことを前提としています。
しかし、実際の避難行動はどうでしょうか。避難者がすべての出口に均等に分散するとは限りません。階出口の配置に偏りがあると、一部の出口に避難者が集中し、実際の出口通過時間が計算値より長くなることが予想されます。
はじめに述べたように、階出口通過時間が階避難完了時間に占める割合は非常に小さいため、建築基準法で定める2方向避難と重複距離さえ満たせば、どこにどのように設置しようが計算結果はたいして変わりません。しかし、設置場所や避難に利用する扉によって、その建物の安全性能は大きく変わります。安全性を確保するためには、防災計画の基本に従い、避難者が自然に分散できる位置へバランスよく階出口を配置することが重要となるのです。
次回のコラムでは、告示510号には示されていない階出口の設置位置について、詳しく解説します。
本サイトの「避難安全検証法について」では、避難安全検証法の基本的な考え方や仕組みを解説しています。まずはこちらをご覧いただき、基礎的な知識を身につけてください。
株式会社九門は、避難安全検証法をより身近に、より実務で活用していただくことを目的として、SED(避難安全検証自動計算システム)を開発しました。避難安全検証法の基本を理解していれば、SEDの運用は決して難しくありません。
SEDでは、避難時間判定法(ルートB1)の検証で入力したデータを、検証方法を切り替えるだけで煙高さ判定法(ルートB2)にもそのまま利用できます。室や開口部をオブジェクトとして扱い、CAD感覚で直感的にデータを入力できる点もSEDの特長です。ぜひSEDを活用し、避難安全検証法を日常の設計業務に取り入れてください。30日間の無料トライアルをご用意しています。ぜひ一度お試しください。
建物に携わる皆様へ
永く愛される建物づくりを、
SEDシステムがサポートします
-
ご検討中の方
SEDシステムは全ての機能を30日間無料トライアルでご利用いただけます
チュートリアルが付いていますので、お気軽にお試しください -
ご契約中の方
SEDシステムのダウンロードや各種契約内容の変更
SEDシステムの操作に関するお問い合わせはこちらから