(67)徹底解説「避難時間判定法」 第5回 居室出口通過時間(後編)
2026/03/20
- 避難時間判定法(ルートB1)
前回に引き続き居室出口通過時間の解説後編、今回は「有効流動係数」と「有効出口幅」についてさらに詳しく解説します。(66) 徹底解説「避難時間判定法」 第4回 居室出口通過時間(前編)と併せてお読みください。
有効流動係数について
前回述べた方法で避難経路等に避難者が収容可能か否かを確認したら、次のステップに進みます。
・避難経路等の部分に避難者を収容できる場合
避難は屋外に出る場合と同様に、最も効率よく避難が行われる有効流動係数=90人/分・mとなります。
・避難経路等の部分に避難者を収容でない場合
以下の計算式で扉毎に有効流動係数を求めます。避難経路等の部分で滞留が生じ流動係数が小さくなります。
![]()
【例題】下図の計画で室Aの避難を検討する際、扉Aの有効流動係数を求めてみましょう。
左項
Bneck(room):
当該出口の幅又は当該出口の通ずる当該居室避難経路等の部分の出口(直通階段又に通ずるものに限る。)の幅のうち最小のもの(単位 m)
対象となる扉は、扉A・扉Dとなり、有効幅の最小の0.75となります。
![]()
避難経路等の収容可能人数です。
Σは総合計を意味しますので、扉Aが直接面する室だけでなく、扉Aを利用して避難する在館者が利用するすべての室の避難経路等、廊下(1)・廊下(2)の合計収容人数であることに注意してください。
廊下(1):20(㎡)/0.3(㎡/人)=66.667
廊下(2):20(㎡)/0.3(㎡/人)=66.667
合計:133.333
Broom:
当該出口の幅(単位 m)
流動係数を求める対象としている扉Aの有効幅の0.9となります。
∑pAload(room):
Σは総合計を意味しますので、扉Aを避難経路として利用するすべての室の在館者数の合計数です。
室Aの在館者数:100人
室Bの在館者数:50人
合計:150人
よって、左項の計算結果は、52.259 となります。
右項
Bneck(room):
左項と同じ0.75となります。
Bload(room):
当該出口の通ずる当該居室避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分(当該居室の存する階にあるものに限る。)の当該出口の通ずる当該居室避難経路等の部分に面する出口幅の合計(単位 m)
対象の扉は扉Aで0.9となります。
よって、右項の計算結果は、66.666 となります。
【結果】左項と右項を比較し大きい方の数値を採用するため、扉Aの有効流動係数は、66.666 となります。
同様に、他の扉の有効流動係数について添付のSEDファイルで計算して確かめてみてください。
有効出口幅とは
防災計画居室計算では、居室の面積が200㎡以上の場合、出口までの歩行時間がかかるため、出口付近で出火することを想定して設置されている扉の1箇所を利用できないものとします。避難安全検証法では、室面積に関係なくBeff(room)により最大幅の扉に対して火災の影響により避難に利用できる扉幅を算定します。
告示には以下のように規定されています。
Beff(room):
当該居室の各出口の幅及び火災が発生してから在室者が当該居室の出口の1に達するまでに要する時間に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した当該居室の各出口に有効出口幅(単位 m)![]()
treach(room):
次の式によって計算した在室者が当該居室の出口の1に至る時間(単位 分)
treach(room)=tstart(room)+ttravel(room)
tstart(room):
イに規定する居室避難開始時間(単位 分)
ttravel(room):
ロに規定する在室者が当該居室等の各部分から当該居室の出口の1に達するまでに要する歩行時間のうち最大のもの(単位 分)
αf:
当該居室の積載可燃物の1㎡当たりの発熱量に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した積載可燃物の火災成長率![]()
αm:
当該室の内装仕上げの種類に応じ、それぞれ次の表に定める内装材の火災成長率![]()
Broom:
当該居室の各出口の有効出口幅(単位 m)
Beff(room):
当該出口の幅(単位 m)
有効出口幅の算定は、避難に利用される扉のうち最大幅を有する扉を対象とし、その扉の横方向に1m離れた位置で火災が発生したものと想定します。そして、火災の範囲が1mまで拡大するまでの時間と、在室者が当該出口までに至るまでの時間(treach(room))を比較します。
火災の範囲が1mを超えるまでの時間の方が長い場合は、全ての扉幅を利用して避難可能とします。一方、火災の拡大の方が早い場合は、火災の影響を受ける範囲を考慮して、避難可能な扉幅を算定します。
尚、避難に利用される最大幅の扉以外の扉については、火災による影響は受けないものとして扱い、全ての扉幅を利用して避難可能とします。
・計算上の注意点
①treach(room)を求める際の、ttravel(room)は、計算対象とする扉に向かう歩行時間ではありません。告示では「在室者が当該居室等の各部分から当該居室の出口の1に達するまでに要する歩行時間のうち最大のもの」と規定されているので、歩行時間算定時に用いた計算対象室内で最も長い経路を利用します。
以下の例では、有効出口幅の計算は最大扉幅の扉Aについて行いますが、ttravel(room)は、最も長い経路となる扉Bに向かう経路を用いて計算します。![]()
②近接して設置される複数の扉は1つの扉とした上で、有効出口幅を計算します。
有効出口幅算定では、開口部から1m離れたところに火元を想定します。扉間が2m未満で設置された2枚の扉については、それぞれが火災の影響を受けることになります。そこでこれらの扉は一体扉として扱い、有効出口幅を算定します。
以上、2回にわたって居室出口通過時間について解説いたしました。みなさまからご質問の多い項目ですが、避難安全検証法の基本的な考え方に則れば、決して難しいものではないとご理解いただけたことと思います。
本サイトの「避難安全検証法について」では、避難安全検証法の基本的な考え方や仕組みを解説しています。まずはこちらをご覧いただき、基礎的な知識を身につけてください。
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