(69)徹底解説「避難時間判定法」 第7回 火災成長率について
2026/05/01
- 避難時間判定法(ルートB1)
前回、前々回のコラムで、有効出口幅の算定式にαf(積載可燃物の火災成長率)、αm(内装材の火災成長率)といった聞き慣れない用語が登場しました。火災成長率は火災の規模を決定する重要な要素です。今回は、その解説です。
火災室と非火災室
火災室の火災の大きさは、火災成長率によって算定します。避難安全検証法では、建設省告示1440号に定める火災の発生のおそれの少ない室以外の室は、全て火災室として扱います。では、火災室として扱われない室(非火災室)とはどのようなものでしょう。
建設省告示1440号
建築基準法施行令第129条第2項に規定する火災の発生のおそれの少ない室は、次の各号のいずれかに該当するもので、壁及び天井(天井がない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを同令第128条の5第1項第2号に掲げる仕上げとしたものとする。
一 昇降機その他の建築設備の機械室、不燃性の物品を保管する室その他これらに類するもの
二 廊下、階段その他の通路、便所その他これらに類するもの
非火災室とは、基本的に、可燃物が少ない用途に供される室であり、かつ床を除く壁(床から1.2m以下の部分を含む)および天井(天井がない場合は屋根)の屋内に面する部分の仕上げが、準不燃材料以上であるものが該当します。
その他これらに類するものの例としては、「避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説[日本建築センター]P15」に示されています。
ここで注意すべき点として、冷蔵室・冷凍室の扱いがあります。不燃物を保管する冷蔵室・冷凍室のみが非火災室として扱えると解釈される場合がありますが、これは誤りです。そもそも冷蔵室や冷蔵庫に保管される物品は、腐敗を防ぐことを目的とした有機物であり、不燃物ではありません。
また、「建築基準法質疑応答集(建築基準法研究会)建築基準法36条関係」の中に、
ロ 倉庫において、冷蔵品を保管するため火災の発生のおそれがない。
と明確な記述があります。
したがって、「その他これらに類するもの」の例として示される「冷蔵室」「冷蔵庫」は、不燃性の物品を保管する室そのものと読むのではなく、不燃性の物品を保管する室に類するものとして位置付けて解釈する必要があります。
※出典:避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説[日本建築センター]P15
火災室の火災の規模は火災成長率で算定します。
αf(積載可燃物の火災成長率)
室内に設置される可燃物量により算定します。告示では、室用途に応じて積載可燃物の発熱量が決められているので、それを利用します。
積載可燃物の発熱量一覧
αf
当該居室の積載可燃物の1㎡当たりの発熱量に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算します。![]()
グラフで見ると積載可燃物の火災成長率は以下のように推移します。![]()
なお、火災室の積載可燃物の発熱量が異なる部分がある場合は、面積按分で室全体を平均した積載可燃物の発熱量を利用します。
αm(内装材の火災成長率)
内装材の火災成長率は内装の種類によって数値が定められていますので、それを利用します。![]()
室内に複数の内装仕上材が用いられている場合は、その中で最も性能の低い内装仕上材の火災成長率を用います。
また、注意すべきは「床面からの高さが1.2m以下の部分を除く」とされていることです。これに対し、火災の発生のおそれの少ない室(非火災室)を判定する場合には、床面からの高さが1.2m以下の部分も含めて評価します。
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