避難安全検証法に関わる内容/告示解釈・考え方階出口の直前に設置する前室(付室)について
最終更新日:2022.08.16
確かに告示510号の検証方法で検討すると、階出口の直前に前室(付室)を設ければ階煙降下時間を大幅に遅らせることが可能で、告示解釈上は合法となります。
しかし、ご質問の通り、建物がより安全になったかというとそうではありません。
下の参考図の上図は、階出口の直前に前室(付室)を設置しない場合です。
階煙降下時間は「廊下」で算定することになります。避難安全検証法の趣旨は、例えばA室で火災が発生した場合、その火災による煙やガスがB・C室の避難経路となる「廊下」で避難が出来なくなるレベルに煙が充満するまでにB・C室の在室者が火災に気が付き避難できるようにすることです。
そのため、階避難安全検証法での避難開始時間は居室計算での避難開始時間に3分を加え、火災室以外の在室者は火災の発見が遅れることを考慮し、避難経路であり階出口となる「廊下」での煙降下時間と階避難完了時間を比較するようになっています。
参考図
しかし、下図のように、階出口の直前に前室(附室)を設置すると、告示の解釈では階煙降下時間は前室(附室)で計算することになり、「廊下」での煙降下時間はまったく考慮されなくなります。よって、前室(附室)での階煙降下時間は遅らせることが可能です。
ところが、これでは各室の避難経路となっている「廊下」の煙降下時間は前室(附室)を設置しない場合と比較して長くすることは出来ません。前室(附室)を設置しないと検証が成立しないのであれば、B・C室の在室者は「廊下」で煙に曝され、最悪の場合、附室に到達するまでに息絶えてしまう危険性があります。
このような場合の最適な設計方法は、前室(附室)を設けるのではなく、A・B・C室の廊下への出口を防火扉(一号)とし、それでも煙降下時間が避難完了時間を上回らない場合は、廊下の天井高さを上げる、排煙装置を設置する、等々真の安全を考慮した工夫をすべきであると考えます。
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