避難安全検証法に関わる内容/避難安全検証法の基礎知識・用語の解説危険物と避難安全検証法
最終更新日:2022.08.11
工場や倉庫の計画で、消防法で定める危険物貯蔵所・少量危険物取扱所等に指定されると、避難安全検証法が利用できなくなる、または、取扱量から発熱量の資料を提出するよう指導されることが多いように思います。
避難安全検証法が危険物を扱う建物には適用できないとは書かれていませんし、そもそも建築基準法の規定なのになぜ消防法の影響を受けるのでしょうか。
消防法では、火災発生の危険性が大きく、火災が発生した場合に火災を拡大する危険性が大きい、また火災の際の消火の困難性が高いなどの性状を有する物品を、危険物として指定し、貯蔵・取扱い・運搬方法などについて規制されています。
しかし、建築の分野では危険物を、①良く燃える(=発熱量が高い)、②通常火災とは違った燃え方をする(=避難安全検証法が想定している燃え方をしない)物品と捉えるため、「その他これらに類する用途」としては扱わず、消防法の位置付けを利用するのでしょう。
しかし、この扱い方については、妥当性に欠けるところもあると考えています。
①危険物の発熱量は高いのか?
例えば、ガソリンが満タンに搭載された大型自動車があるとします。
・ガソリンの発熱量:34.6MJ/L
・大型自動車のガソリン搭載量:70L
・自動車の面積:1.8×4.6=8.28m2
1m2当たりの発熱量に換算すると、34.6 MJ/L×70L÷8.28m2=292.5MJ/m2、これは告示で定める240MJ/m2より大きな数値となりますが、収納係数の0.4を考慮すると理論上の発熱量は117MJ/m2になり、どちらかというと低めの発熱量となります。
また、例えば駐車場に同等の自動車が3台駐車するとガソリン合計量は210Lとなり、危険物指定数量200Lを超えてしまいますが、駐車場は消防法の規制からは除外されています。
このように、一概に危険物=良く燃える(=発熱量が高い)とは言い切れないのです。
②危険物の燃え方は避難安全検証法の想定外なのか?
危険物には様々な種類があり、例えば火災燃焼に依らず酸化反応を起こしやすい物質などについて避難安全検証法で議論するのは適切ではないでしょう。しかし、第4類危険物:引火性液体(燃料、潤滑油、植物油等)は、日常的に我々の生活の場に存在し、避難安全検証法理論の確立時に用いられてきた物質です。これについて消防法の位置付けを利用するのは不適切ではないかと考えます。
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